松本社長の経営に役立つ話(35)メインバンクの選定とその活用方法
連載として、当社「(株)事業パートナー九州」の連携先の「(株)事業パートナーの松本光輝社長」のコラムを紹介しています。今回は第35回目です。経営のヒントとしてご活用下さい。
バックナンバーは最後に記載
メインバンクの選定とその活用方法
~中小企業経営の安定と成長のために~
こんにちは。株式会社事業パートナーの松本光輝です。
今回は、中小企業にとって欠かせない「メインバンクの選定とその活用方法」についてお話しします。
バブル経済崩壊以前、日本では「メインバンク制」が広く浸透していました。企業と金融機関が長期的な関係を築き、金融だけでなく経営面でも支援を受けるという仕組みです。しかしバブル崩壊後は、銀行のリスク分散のため「共同融資」が主流となり、メインバンクとしての機能は次第に薄れていきました。
ところが近年、再びその重要性が見直されています。2022年、金融庁は「メインバンク制の再評価」を指針として打ち出し、中小企業支援の基盤として機能するよう、銀行側にも関係強化を促しています。企業にとっても、メインバンクとの関係をどう構築するかが経営の安定と発展に大きな影響を与える時代となっています。
メインバンク制の利点とは?
企業がメインバンクを持つことで、次のようなメリットが得られます。
・企業の情報を深く把握してもらえるため、資金調達の際に融資判断が早く、柔軟になります。業績だけでなく将来性や経営者のビジョンも加味された支援が受けられます。
・金融支援にとどまらず、人材や取引先の紹介など、経営全般の支援が得られるケースがあります。メインバンクを通じてネットワークが広がり、新しいチャンスが生まれる可能性もあります。
・万一の資金繰り悪化や経営危機の際にも、日頃から関係を築いている銀行であれば、リスケ(返済条件の見直し)や資金支援においても前向きに協議が進む可能性が高くなります。
メインバンクの選び方:3つのステップ
では、どのようにメインバンクを選定し、関係を築いていくべきでしょうか。以下の3つのステップが有効です。
1 現時点での取引銀行を客観的に評価する
複数の銀行と取引がある場合、対応の早さ、支店長や担当者の質、経営への理解度などを基準に評価します。定期的に会社を訪問し、業況を把握してくれる銀行は信頼に値します。
2 候補の銀行に明確な意思表示をする
「貴行をメインバンクとして検討したい」と明確に伝えることで、銀行側の反応や姿勢を見極めることができます。積極的な対応があれば、今後の連携に期待が持てます。
3 具体的な協議を行う
金利や担保条件、融資メニューの多様性などについて相談し、互いの期待値を共有することで、より強固な関係を築けます。反応が消極的な場合は、他の銀行を検討することも視野に入れるべきです。
自社の規模に見合った金融機関の選定
企業規模によって、適切な金融機関も異なります。以下は一つの目安です。
年商 | 適切な金融機関 |
---|---|
1億円以下 | 信用組合・信用金庫 |
1億円超~5億円以下 | 信用金庫 |
5億円超~50億円以下 | 地方銀行 |
50億円以上 | 都市銀行 |
融資交渉も「戦略」が必要な時代に
金融機関は単なる「お金を借りる場所」ではなく、経営を支えるパートナーです。したがって、融資を受ける際も、経営計画や資金使途の明確化が求められます。銀行側も近年は「事業性評価」を重視しており、過去の決算だけでなく、将来の見通しを重視します。
そのためには、資金計画、損益予測、経営方針などを整理し、明確なストーリーとして銀行に提示する必要があります。このような交渉は、経営者自身だけで行うのではなく、専門家の支援を受けて進めるのが有効です。
ご相談ください
金融機関との関係構築や、メインバンクの選定、交渉方法についてお困りのことはありませんか?当社では、企業の経営状況や事業戦略に応じて、最適な金融機関の選定や交渉支援を行っております。
「資金調達を有利に進めたい」「銀行との関係を見直したい」とお考えの経営者の皆様、ぜひ一度ご相談ください。経験豊富なコンサルタントが、貴社の状況に応じた実践的なアドバイスを提供いたします。
<松本社長の紹介>
1948年生まれ。40年間飲食業を中心に7業種の会社を経営。
バブル崩壊時に「25億円」の負債を抱えるも5年で解消。自ら事業再生を経験。その時の知識・経験を活かして事業再生請負人として活躍中。
18年間で「600社以上」の事業再生に取組み、多くの苦悩する経営者を救済してきました。
また、「7,000名を超える税理士」が松本社長の「経営改善セミナー」を受講。
「危機に陥らない経営手法」を伝授しています。